公正証書遺言のメリット

1.紛失の恐れがない。

本人が100歳以上になるまで、公証役場に原本が保管されます。

2.信頼性がある。

公証人は、裁判官や検察官などを退官された方ですので、法律文書の専門家です。
法律上の表現については、十分考慮されます。
公正証書は、一般に信頼が高まります。

3.偽造・変造の恐れが無い。

公正証書は、通常原本、正本、謄本と3通作成します。原本は公証役場にあるので、他のものを偽造・変造しても意味がありません。

4.本人が書いたことが明らかになる。

作成時に本人確認しますし、証人も立ち会いますので、「実際は、誰か別人が書いたのではないか?」という疑問が起こりません。

5.遺言能力が証明できる。

遺言を書くには、遺言能力が必要です。自分だけで書いた自筆証書遺言である場合、書いた時点で本当に本人が認知症などでボケていなかったかどうか、あるいは、他人がボケていた本人をだまして、自分に有利な遺言を書いたかどうかは、将来疑う人が出てくる可能性があります。
しかし、公証役場では、本人の遺言能力は確認しますので、ボケていたり、本人が他人の言うままに書かされたかどうかについては、チェックがかかります。

6.相続開始後、遺言の内容を直ちに実行できる。

自筆で書いた遺言書は、亡くなったあと発見した場合には、家庭裁判所にそのまま持って行き、「検認」という手続きが必要です。これは指定された日に、相続人が全員家庭裁判所に集まって、遺言書の状態を確認する作業です。
この全員集まって確認する「検認」作業は、相続人に遠方から来てもらったりすることも必要で、時間も掛かり非常に面倒なものになりますし、遺言書の内容によっては、困ったことにもなります
公正証書の場合は、このような手間がなく、すぐ遺言内容を実行できるので後が楽です。

公証人に依頼するまでの手順

① 遺言者の財産を明確にします(不動産、預貯金、債権など)。

② 遺言者の意思を明確にします(誰に、どの財産を、どのように相続させるか)。

③ 遺言執行者(遺言者の意思を実行する人)を決めます。

④ 祭祀主催者(祭事、墓の建立、法律などを行う人)を決めます。

⑤ 立会証人2名を決めます。※当事務所職員が証人なることもできます。
   (未成年者、推定相続人、受遺者及びその配偶者並びに血族はなれません。)

⑥ 必要な書類を揃えます。

⑦ 公証役場に遺言者本人または代理人が事前に申込み、遺言の内容を伝え
     ます。

⑧ 必要書類を持参し、公証人と遺言者の面談希望日時(遺言書作成の日)を
     申込みます。

⑨ 遺言の当日、証人2名立会のもと、公証人が遺言書に遺言の意思を口述に
     て確認し、遺言者及び証人が署名押印すれば遺言公正証書が完成します。

※ 遺言書は、遺言者本人及び公証役場にて保管することとなります。